【別紙様式3】
1930 山口県立宇部高等学校
山本 理恵,中谷 隆寛,中村 萌
酵母菌へ蛍光遺伝子導入する高校生用実験キットの開発
1. パン酵母を使った組換えDNA実験キット
山口大学工学部で高校生でも簡単にパン酵母に遺伝子を導入できるキットが開発されている。そのキットではコウジ菌のアミラーゼ遺伝子を導入するが,本研究では蛍光遺伝子を導入できるキットの開発を行った。
使用した蛍光遺伝子はGreen Fluorescent Protein (GFP)遺伝子で,元はオワンクラゲの遺伝子であるが,現在では細胞内のシグナル経路の可視化を可能にし,世界中の研究現場で用いられている重要な遺伝子である。
蛍光遺伝子の導入を高校生が体験できることは,大変貴重なことであり,将来の生物学や医療の発展に貢献する高校生の育成にもつながるであろう。
2. 蛍光遺伝子の導入実験
山口大学の組換えDNA実験キットを使用し,ミトコンドリア局在性を持つタンパク配列と蛍光遺伝子を融合した遺伝子を持つプラスミドDNA(pVT100U-mtGFP)を酵母菌に導入した。
高校で実際に導入実験を行い,遺伝子導入された酵母を培地上で生育させ発光するかどうかをブルートランスイルミネーターで観察した。
3. 結果
ブルーライト上でオレンジフィルターをのせて観察すると強い蛍光が観察できた(図1)。蛍光顕微鏡で観察すると,緑色の蛍光が確認できた。光を発しているものはミトコンドリアであり,その姿もはっきりと観察することができた。
4. 考察
高校でも酵母菌にGFP遺伝子を導入し,観察できることがわかった。これからも最先端の遺伝子工学についてさらなる理解を深め,多くの分野で活用できる研究として続けていきたい。