遺伝子・DNAとはどんなもの?

DNAを取り出してみる

 

山口大学工学部

 

 

遺伝子とは生命の設計図です。遺伝子は,DNAと呼ばれる物質でできています。人も植物も微生物も,すべての生物は,同じDNAを設計図に用いています。

この実験では,DNAを魚の白子から取り出します。さて,どんなものなのでしょうか。取り出したDNAの中に,魚を作り上げる情報が詰まっています。同じDNAがすべての生物に含まれていて,それがその生物の設計図になっていることを理解して下さい。 

 

 

用意するもの

 

鱈(たら)などの魚の白子50-100 g---魚屋に注文すれば手に入ります。お鍋に最適。  

冷凍庫で保存可能。11 gもあれば充分。

 

台所用洗剤�---ジョイ(P&G)を使っています。他の洗剤でも可能でしょう。

 

エタノール ---薬屋で買えると思います。98-99%のもの。特級でも一級でも可。

 

---脱イオン水。水道水でも可。 

 

・混ぜるもの---箸もストローでもピンセットでもなどなんでもよい。

 

・ビーカーなどの容器(50-100 ml)2つ。コップでもよい。透明で観察しやすいもの。

 

・ビニール袋---白子をつぶすため。手のひらサイズがよい。ジッパーがついていると便利。

 

 


方法(5人分)

 

1)白子を5 g程度,親指ほど,をビニール袋に入れて指や手で30秒から1分ぐらいよくつぶします。つぶした後,水を5 l ぐらい入れる。適当量でよい。  

 

2)つぶれた液をビーカーにいれます。この時あまり,つぶれていない粒を入れないように気をつけます。ただし,入っても気にしない。

 

3)ビーカーに水を50 ml程度いれます。まぜます。

 

4)別のビーカーにこの液を一人10 ml程度入れます。この時にあまり固まりが入らないように気をつけます。入った場合はピンセットや箸で取り出します。少々入っていても問題ありません。

 

5)この中にジョイを45滴たらし,かき混ぜます。この時どんな変化があるかを観察します。洗剤(界面活性剤)が細胞膜を溶かします。体は水が70%でできていますが,細胞がその中に部屋を作るためには油の層が必要です。したがって,どんな細胞も油の層で囲まれていて,外にも水,細胞の中も水が入っていてその境界が油でできています。界面活性剤とは,油を水に溶けるようにするものであることは食器を洗うとわかりますよね。ここで,細胞を溶かしたのです。少し透明になることが観察できると思います。

 

6)入っている液の2倍容積(10 mlなら20 mlのエタノールを,20 mlの人は40 mlのエタノール)を液の上に載せるように入れます。あまり混ざらないようにそっと入れる方がよいです。どぼっと入れても問題はありません。

 

7)それを箸などで,ゆっくりかき混ぜてみて下さい。ゆっくりとは,納豆をかき混ぜる位のスピードです。だんだん箸の周りにひも状のものが巻き付いてくるのがわかると思います。これがDNAです。

 

8)DNAを観察してみて下さい。大変長いひも状の物質です。いかがですか。

 

 白子とは魚の精子です。精子は,ほとんどがDNAで,あとは泳ぐための尻尾を持っているだけです。この中には,魚を作り上げる情報が入っています。

 

 遺伝子DNAはすべての生物間で交換可能です。 

 人の遺伝子を微生物に入れてくすりを作っています。バクテリアの遺伝子を植物に入れたのが今ある遺伝子組換え作物です。